出張帰りのでかいリュックを背負って、暗いリバプールの港を30分歩いた先に、サウナが浮かんでいた。
2026年9月5日、夜7時半。マンチェスターでの仕事が終わって、そのまま電車でリバプールへ。Lime Street駅から歩いたら思ったより遠くて、着いた頃にはもう真っ暗。たぶんその日最後の枠に、ギリギリで滑り込みました。
行き先は「Wyld Sauna(ワイルドサウナ)」。プリンセス・ドックの水の上に浮かぶ、イギリス初の誰でも入れる浮体式サウナです。
この記事は、その1時間で何があったかの話。あとから調べた料金や持ち物、予約のルールも入れてありますが、先に体験から書きます。
港の水に飛び込むって…本当に?夜に?汚くないの?
本当に飛び込んだ。しかも思ったより全然きれいだった。

夜7時半、Wyld Saunaに到着。まず店員さんと日本の話になった

受付で最初にしたのは、写真の許可取りでした。インスタに載せたかったので「撮っていい?」と聞いたら、店員さんが「今10人くらい入ってるからなあ…」と困った顔。まあ当然ですよね。水着の他人が写る場所なので。
で、そこから話が逸れる。その彼、日本に行ったことがあるらしくて、東京と名古屋と、長野。長野まで行っているのがちょっと渋い。僕の名前が日本人だったからか、「ここは日本みたいに裸では入れないからね」と釘を刺されました。いや、裸で入るつもりはなかったんですけど😅
リバプールの港の上で、日本の銭湯のマナーの話をしている。変な感じ。でも、こういう会話ができるのが個人経営っぽい施設のいいところです。
ちなみにこの施設、2024年11月にオープンしたばかり。プリンセス・ドックという歴史ある港の、ウォーターフロント再開発「Liverpool Waters」の一角にあります。運営はイギリスの屋外サウナの安全ガイドラインに沿っていて、リバプール市の許認可も取っている。「野生のサウナ」というより、きちんと管理された都市型の施設です。
更衣室はぎゅうぎゅう。リュックのロッカーは鍵を閉めなかった

中に入ると、その日は10人くらい。男性8人、女性2人という感じでした。更衣室は男女別。
ただ、男性8人が同時に着替えると、これがもう狭い。ぎゅうぎゅう。
僕は出張帰りで、でかいリュックを背負っていたんですよ。ロッカーには一応入った。でも鍵を閉める気にはなれなくて、結局閉めませんでした(何も無くなりませんでしたけど)。大きい荷物がある人は、ホテルに置いてから来るのが正解です。
2025年に書かれたレビューによると更衣室が狭くて男女共用で気まずいというのが一番多い不満でした。僕が行った時点で男女は分かれていたので、そこは改善されているようです。
狭さは、まあ、健在。
サウナ室は3〜4段。景色を見たいなら1段目

サウナ室、大きいです。20人くらいは入れそうな空間で、ベンチが3段か4段になっている。薪ではなく電気のサウナで、設定温度は約70℃。ロウリュ(ストーンに水をかけて蒸気を出すやつ)は自由にできます。
ここでひとつ発見。
上の段に座ると、熱いのはいいんですが、窓から外がまったく見えない。港の景色を楽しみたいなら、1段目です。
熱さは犠牲になるけど、水面と対岸の明かりを見ながら汗をかくのは、この施設でしかできない体験なので。
もうひとつ、ちょっと驚いたこと。
イギリスのサウナって、普通は自分が座る場所にタオルを敷くのがマナーなんですよ。でもここでは、誰も敷いていなかった。みんな木のベンチに直に座っている。
リバプールの流儀なのか、この施設の空気なのかは分かりませんが、日本のサウナに近い感覚で、僕は嫌いじゃなかったです。公式サイトは「座る用のタオル」を推奨しているので、持って行くこと自体は変わらず正解ですが。
で、港には入ったの?9月でも冷たいでしょ?
入った。体感13℃くらいで、日本の水風呂よりちょっと冷たいくらい。冷たさより、真っ暗で足がつかないのが怖かった。
ドックに飛び込む。入る場所と上がる場所が違うので注意

サウナ室を出ると、外にリクライニングチェアが4つくらい。水シャワーもあります。そして目の前が港。
ドックに入る前にシャワーを浴びてください、という掲示がありました。
これは港の水を汚さないためのルールで、この施設はシャンプーや石鹸の持ち込み・使用も禁止しています(排水がそのままドックに流れるから)。
夜の港は、真っ暗でした。水面が見えない。
何も見えない黒いところに飛び込むのは、正直かなり勇気がいります。
で、飛び込む。一気に入ったので、体がぐっと冷える。
でも落ち着いてみると、そこまで冷たくない。体感で13℃くらい。日本の水風呂より、ほんの少し冷たいかな、という程度です。
冷たさより怖かったのは、足が底につかない感覚のほう。
水深は2mくらいあるので、暗い水の中で足がどこにも触れない。あれは慣れません。
ここで大事な注意点。飛び込む場所と、上がってくるステップの場所が違います。暗い中で「どこから上がるんだ?」となると地味に焦るので、入る前に上がり口を確認しておいてください。ライフガードが見ているので、そこは安心。
冬は別物らしくて、R凍え死ぬかと思ったけど、そのあとサウナ室に戻ったときのリラックスは人生最高だったという投稿が複数ありました。
冬に行く人は覚悟を。
水質については、行く前は半信半疑でした。港ですから。でも入ってみたら、全然汚い感じがしない。あとから知ったんですが、このドックは環境庁から水質「Excellent」の評価をもらっていて、リバプールではここで泳ぐこと自体がわりと普通なんだそうです。
ドックのほかにアイスバスも4基あるので、どうしても港が無理な人はそっちで。
1時間で3セット。飲み水は汲み放題

結局、1時間の枠で3セット回せました。サウナ→シャワー→ドック→リクライニングでぼんやり、を3回。飲み水は施設で自由に汲めたので、水筒があると便利です。
この「1時間」というのがWyld Saunaの最大のクセで、受付から着替えまで全部込み。公式が案内している入り方は、サウナ8〜15分(慣れていれば最長20分)、シャワー、アイスバスかドックに1〜2分、これを3〜5セット。僕の感覚だと、3セット+最後の着替えに15分、というのが現実的なラインです。着替えの時間を削ると、狭い更衣室で濡れたまま焦ることになる。
日本のサウナみたいに外気浴で長々と「整う」時間は取れません。その代わり、サウナ室のドアを開けた瞬間に港の風と水が待っている。整い方が、日本とはちょっと違うんですよね。
次に行くなら:料金・予約・持ち物のメモ(2026年9月時点)

ここからは、あとで調べた実用情報です。料金やルールは2026年9月時点のもので、行く前に公式サイト(wyldsauna.com)で最新情報を確認してください。
料金は1時間£5〜£12.50
| 時間帯 | 料金(1時間) |
|---|---|
| 平日オフピーク(11:00〜14:00) | £7.00 |
| 平日ハッピーアワー(14:00〜15:00) | £5.00 |
| 平日ピーク(16:00〜20:00) | £12.50 |
| 土日(9:00〜20:00) | £12.50 |
安いです。イギリスの屋外サウナの相場は、地方のビーチサイドで£12〜16、ロンドン中心部だと£20〜45くらい。一番高い枠でも£12.50。入会金も年会費もなく、無料アカウントを作れば予約できます。何度も行く人には「Wyld Cards」という前払いクレジットがあって、£25払うと£30分、£50で£65分、£100で£135分。有効期限は購入から12ヶ月。
予約は42日前から。キャンセルは24時間前まで
予約はオンラインで、各日程の枠は42日前から公開。1アカウントで同時に予約できるのは最大5名。18歳以上限定で、写真付き身分証の提示を求められることがあります。予約時か入館時に免責合意書へのデジタル署名が必要。このへんは保険がらみのルールなので、細かい条件は公式サイトの規約か施設に直接確認してください。
キャンセルは、セッション開始の24時間前までにオンラインで手続きすれば料金がアカウントのクレジットとして戻ります。24時間を切ったら、天気が悪くても施設が営業している限り100%没収。カードへの返金を希望する場合はサポート(support@wyldsauna.com)へメールで申請、処理に5〜7営業日かかります。
持ち物:水着、タオル2枚、サンダル、水筒
必須は水着(公共スペースなので着用必須)とタオル2枚。ベンチに敷く用と、ドックから上がって拭く用。あると便利なのがビーチサンダル(床が滑る)、水筒(汲み放題なので)、バスローブ、サウナハット。シャンプーや石鹸は持ち込み禁止。2026年夏から有料のタオルレンタルが始まったと報じられていますが、僕は借りなかったのでわかりかねます。
あと、駅から歩くなら30分見ておいてください。車の場合は施設の隣にほぼ停められないので、近くのPrinces Dock Multistorey Car Parkの駐車料金が実質の追加コストになります。
2026年夏のリニューアルについて
2025年の英語レビューの不満(狭い更衣室、仮設トイレ、石鹸で洗えない)に応える形で、Wyld Saunaは2026年4月に拡張計画を発表しています。常設トイレ、個別の着替えキャビン、石鹸OKの陸上シャワー、16人用の第2サウナ、車椅子リフト、水辺のカフェ「Quayside Café」、ヨガやブレスワークの「Wellness on Water」プログラム。。更衣室が男女別になっていたのは確かです。
タイプ別:Wyld Saunaにはこう行くのがおすすめ

観光で1回だけ行く人。土日の£12.50枠でもロンドンの相場の半額以下。タオル2枚と水着とサンダルを持って、荷物はホテルに置いて、明るいうちに行くのがおすすめです。夜も雰囲気はいいんですが、港の景色は昼の方がちゃんと見える。座るのは1段目で。
リバプール滞在中に何度も行く人。平日14〜15時のハッピーアワー£5がとにかく強い。Wyld Cardsを組み合わせれば£100で£135分。日常の習慣に組み込むための価格設定になっている、というのがこの施設の思想です。
グループで貸切りたい人。2026年夏に新設された16名用の第2サウナが候補。通常予約は1アカウント5名までなので、大人数の予約方法は施設に直接問い合わせを。
都会より大自然で入りたい人。ここは都市型です。ビル群と船を眺めながら港に入るのが持ち味。スコットランドのElie Seaside Saunaやドーセットの Studland Sauna Hutのような自然の中のサウナが好みならそちらも。ただし監視員のいない自然水域は、深さや流れに対する泳力と自己責任が求められます。
ロンドンで似た体験がしたい人。カナリーワーフの運河に浮かぶ薪サウナ船「Skuna Sauna」(貸切中心)や、テディントンの会員制クラブThe Lensbury内の「TEMZ Floating Saunas」があります。ただ、都度払い£5〜12.50で誰でも港に飛び込める手軽さは、Wyld Sauna独特のものです。
出張の疲れをリュックごと背負って行って、港に飛び込んで、3セット回して、1時間で出てきた。それだけの話なんですが、帰り道は妙にすっきりしていました。日本のサウナのように長くいられない代わりに、「入って、飛び込んで、帰る」という潔さがある。
僕はロンドンで日本式のスーパー銭湯をやりたいと思っているので、帰りの電車で「自分がやるなら、ここから何を真似して、何を変えるか」をずっと考えていました。
真似したいのは、外気浴です。サウナ室を出て、リクライニングチェアに座って、目の前に港が広がっている。あの眺めがこの施設の一番の財産で、正直、サウナの熱さより記憶に残っています。ロンドンにも水辺はいくらでもある。運河でも、テムズでも、ドックでも。外気浴の椅子から水が見える場所を押さえられたら、それだけで半分勝ちだと思いました。あと、£5〜12.50で港に入れるという価格の潔さ。リバプールの人たちがタオルも敷かずに直に座っていたのは、ここが観光地じゃなくて日常の場所になっているからで、それは値段が作った空気なんだと思います。
変えたいのは二つ。ひとつは熱源で、Wyld Saunaは電気ですが、僕はせっかくなら薪でやりたい。あの煙の匂いと柔らかい熱は、電気では出せないので。もうひとつは、サウナ室の段の作り方。20人入れるのは商売としては正しいんですが、上の段に座ると港がまったく見えなくなる。せっかく水辺に浮かんでいるのに、一番熱い席から景色が消えるのはもったいない。人数を少し削ってでも、どの段からも水が見える窓の取り方にしたい。そう思いました。
料金やルールは2026年9月時点のものです。行く前に公式サイト(wyldsauna.com)で最新情報を確認してから予約してください。
Wyld Saunaについてよくある質問

駅からどうやって行きますか?
僕はLime Street駅から歩いて30分くらいでした。大きいリュックがあるとけっこうしんどいので、荷物はホテルに置いてから行くのをおすすめします。
タオルは現地で借りられますか?
2026年夏から有料のタオルレンタルが始まったと報じられていますが、僕は現地で借りなかったのでわかりかねます。ベンチ用と体拭き用の2枚を持参するのが確実です。
冬でもドックに入れますか?
入れます。ライフガードが常駐していて、ステップから入水します。9月上旬の夜は体感13℃くらいで、日本の水風呂より少し冷たい程度でしたが、冬はRedditの体験談いわく「凍え死ぬかと思うほど」。無理ならアイスバス(4基あります)で。
子どもや18歳未満は利用できますか?
できません。保険と安全管理の都合で18歳以上限定で、写真付き身分証の提示を求められることがあります。詳しい条件は施設か公式サイトの規約で確認してください。
サウナのあとにシャンプーで髪を洗えますか?
サウナ棟のシャワーでは石鹸類は使えません(港の水質保護のため)。2026年夏の拡張で、別系統で排水する陸上シャワーエリアが設けられ、そこではシャンプーが使えると報じられていますが、使ってないので実際はよくわかりまえあん。

